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2026/04/22 21:49 ~ なし
第8回 模試E判定の紙切れ
その紙は、思ったよりも軽かった。
模試の結果表。
厚みもなく、色もなく、ただの一枚の紙切れ。
涼介は、教室の後ろの席でそれを受け取った。
私服の生徒たちがざわつく中、誰も彼の手元など見ていない。
だが、涼介には分かった。
――これを開いた瞬間、自分の立ち位置が決まる。
深呼吸を一つして、紙を裏返す。
最初に目に入ったのは、判定欄だった。
「E」
一瞬、何かの見間違いかと思った。
目をこすって、もう一度見る。
E。
紛れもなく、E判定。
志望校欄には、MARCHの名前。
そして、その下に安全校として書いた、
一段階、いや二段階ほど難易度を落とした大学。
どちらも、E。
「……ああ」
声にならない声が、喉の奥でつかえた。
進学校に入ったとき、涼介は思っていた。
早慶は無理でも、MARCHくらいなら。
模試でDやCを取りながら、何とか帳尻を合わせる。
そんな“よくある進学校ルート”を、
自分も歩くものだと、疑っていなかった。
だが、この紙は違った。
努力が足りない、では済まされない現実を、容赦なく突きつけてくる。
数学。
偏差値は40を切っている。
英語も、国語も、似たようなものだった。
涼介は、紙を折りたたんだ。
見られたくなかった。
特に、隣の席のやつには。
彼は、少し前まで涼介と一緒に
カラオケボックスで時間を潰していた友人だ。
今も、涼介と同じように、授業を抜けることがある。
だが、その友人は、
模試の結果を見て、肩をすくめながら言った。
「まあ、こんなもんでしょ」
その言葉が、なぜか涼介の胸に刺さった。
「こんなもん」
――本当に、それでいいのか?
家に帰っても、模試の紙は机の上に置かれたままだった。
参考書を開く気にはなれない。
スマホを手に取り、SNSを眺め、動画を流す。
だが、画面の向こうで誰かが笑っていても、涼介の頭の中には、あの「E」が焼き付いたままだった。
夜。
布団に入っても眠れない。
「もし、このまま何も変えなかったら?」
想像したくない未来が、勝手に浮かぶ。
大学に行けない。
進学校に入った意味がなくなる。
周囲の視線。
親の沈黙。
胸が、じわじわと苦しくなった。
だが同時に、どこかでこうも思っていた。
――ここまで来たなら、
――もう、ごまかせない。
あの紙切れは、涼介にとって“終わり”ではなかった。
逃げ続けてきた現実を、ようやく真正面から見せてきた合図だった。
このとき、涼介はまだ知らない。
このE判定の紙切れが、後に彼を動かす、
最初の「本当のスタート」になることを。
▶ 模試の結果が突きつける「本当の問題」
模試のE判定は、才能の判定ではありません。
それは、今のやり方では届かない、というサインです。
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