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2026/05/04 21:16 ~ なし

第9回 三者面談「大学進学は難しい」

三者面談の日は、朝から空気が重かった。

私服校の教室は、いつも通りのはずなのに、その日はやけに静かに感じられた。
廊下を歩く足音まで、涼介の耳には大きく響いた。

教室の隅に置かれた机。
そこに、担任の教師と、母親と、自分が向かい合って座る。

この光景を、涼介は何度も頭の中でシミュレーションしていた。
だが、実際にその場に座ると、用意していた言葉はすべて消えていた。

担任は、手元の資料に目を落としたまま、淡々と話し始めた。

「まず、模試の結果から確認しましょう」

紙が机の上に置かれる。
何度も見たはずの数字。
それでも、改めて突きつけられると、胸の奥が痛んだ。

E判定。
E
判定。
E
判定。

「正直に言いますね」

担任は、視線を上げて涼介を見た。
その目には、怒りも失望もなかった。
あるのは、事務的な冷静さだけだった。

「この成績だと、一般入試での大学進学は、かなり厳しいです」

母親が、小さく息を吸う音がした。

「え……それは……

担任は、言葉を選ぶように少し間を置いてから続けた。

「推薦や総合型選抜を視野に入れるなら、今からでも可能性はゼロではありません。
ただ、現状の学力だと、一般入試で国公立や難関私大を目指すのは難しい、というのが正直なところです」

難しい

その言葉は、涼介の中で、何度も反響した。

母親が、恐る恐る口を開いた。

「本人は……大学には行きたいと言っていて……

担任はうなずいた。

「選り好みをしなければ大学自体への進学は可能です。ですが、国公立や難関大の一般入試は現実的ではないと思います。」

涼介は、何も言えなかった。

行きたい大学があったわけでもない。
明確な目標があったわけでもない。

ただ、
「ある程度、名の知れた大学には行けるだろう」
「この高校に入った以上、それが普通だ」

そう思っていただけだった。

面談は、十分ほどで終わった。
最後に担任は、こう付け加えた。

「今からでも、やり直すなら、やり方を変える必要があります」

その言葉だけが、涼介の頭の中に残った。

帰り道、母親は何も言わなかった。
駅までの道が、やけに長く感じられた。

家に着き、部屋に入った瞬間、涼介はベッドに倒れ込んだ。

天井を見つめながら、思う。

――一般受験での大学進学は、難しい。

その言葉を、自分はいつから、どこかで予感していたのだろう。

そして・・・
それでもなお、「このまま終わりたくない」と思っている自分がいることに、涼介は気づいてしまった。


▶ 
「もう無理」と言われたとき、どうしますか?

三者面談で突きつけられる現実は、多くの高校生・保護者が経験します。

もし今、

  • 模試の結果が振るわない
  • 学校から厳しい現実を告げられた
  • それでも、どこかで「まだ何かあるはず」と感じている

なら、一度立ち止まって整理することが必要です。

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