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2026/05/07 00:27 ~ なし

第10回 大手塾からの拒絶

一月の冷たい風が、駅前のビル街を吹き抜けていた。
私服校の涼介は、コートのポケットに手を突っ込み、見慣れた看板を見上げた。

――中学時代、三年間通い続けた大手進学塾。

「ここなら…」

それは期待というより、最後にすがれる場所を探す感覚に近かった。

受付で名前を告げると、奥の面談室に通された。
現れたのは、かつて担当だった講師よりも少し年上の、穏やかな表情の男性だった。

模試の成績表が机に並べられる。
赤ペンで囲まれたE判定の文字が、いやでも目に入る。

講師は、しばらく無言で紙に目を落としたあと、静かに口を開いた。

「……正直に言いますね」

涼介の喉が、ひくりと鳴った。

「今からうちの集団授業についていくのは、かなり厳しいと思います」

予想していなかったわけではない。
それでも、その言葉は胸の奥に、ずしりと落ちた。

「授業のスピードも速いですし、前提となる基礎が固まっていない状態だと、逆に自信を失ってしまう可能性が高い」

丁寧な言い方だった。
だが、要するにこういうことだ。

――ここでは、もう救えない。

「個別指導もありますが…」
一瞬、希望が見えかけた。

しかし続く言葉が、それを打ち消す。

「かなりの授業数が必要になります。英数で週に三、四回。家庭学習も相当な量になりますね」

涼介は、黙って頷いた。

頭の中では、別の声が響いていた。

(それって、また“やらされる勉強”じゃないか)

中学時代、確かに成績は出た。
だが、それは「自分で考えて」ではなかった。

課題を出され、間違えれば叱られ、量で押し切る。

あの頃の感覚が、胸の奥でざわついた。

面談は、穏やかなまま終わった。
講師は最後にこう付け加えた。

「他にも、涼介くんに合う場所がきっとあります。焦らず探してみてください」

ビルを出た瞬間、冷たい空気が肺に流れ込んだ。

「合う場所…か」

駅へ向かう道を歩きながら、涼介は笑いそうになった。

進学校。
私服校。
プライドだけは、まだ残っている。

「全部管理されて、言われた通りにやるだけ」

それで本当に、立て直せるのだろうか。

空を見上げると、冬の夕暮れが始まっていた。
ネオンが灯り始める街の中で、涼介は立ち止まった。

拒絶されたのは、塾だけではなかった。
これまでの自分のやり方そのものだったのかもしれない。

だが、そのときはまだ――
“
別の道”があることを、涼介は知らなかった。


▶「ここでは無理だ」と言われたとき

大手塾からの拒絶は、涼介にとって終わりではありませんでした。

むしろ、「本当に自分に合う学び方」を探すきっかけになったのです。

もし今、

  • 集団塾についていけない
  • 個別指導の“管理型”に違和感がある
  • 成績が下がり続けている

そんな状況なら、一度立ち止まって整理する必要があります。

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