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2026/07/14 20:41 ~ なし
第19回 英語は「声」から始まった
入塾初日、涼介は少し肩に力が入っていた。
ここが最後の場所になるかもしれない。
そんな思いと、どこかで「また失敗するかもしれない」という不安が、胸の奥でせめぎ合っていた。
山下は、涼介の成績表も、模試の結果も、もう一度だけ確認すると、静かに言った。
「まず英語から行こう」
涼介は身構えた。長文? 文法? 単語テスト?
だが、渡されたのは一冊の単語帳だった。
DUOセレクト。
「今日やるのは、これを一周。声に出して読むだけ」
「……え?」
涼介は思わず聞き返した。
一周? 一日で?
「意味を確認して、構文を見て、声に出す。分からないところは止まっていい。でも、最後まで行く」
涼介は半信半疑だった。正直、拍子抜けした。だが、やってみると――思った以上に、しんどかった。
声に出すと、理解がごまかせない。あいまいな単語、あいまいな構文。頭の中で「何となく分かった気」になっていた部分が、次々と露呈していく。
それでも、最後まで読み切ったとき、涼介は奇妙な感覚を覚えた。
「……英語、嫌じゃないかもしれない」
翌日も、同じことをした。次の日も、その次の日も・・・
DUOセレクトを一日一周。意味を考え、構文を追い、声に出す。
派手な勉強ではなかった。だが、ある日、英語の授業中にふと気づいた。
英文を見た瞬間、構造が見える。
今まで「暗号」のようだった英文が、少しずつ、文章として読めるようになっていた。
「英語って、こういうことだったのか……」涼介は、初めて英語を「理解し始めている」感覚をつかんだ。
山下は、何も言わなかった。だが、涼介のノートの余白が埋まっていくのを、確かに見ていた。
このとき、涼介はまだ知らなかった。この「声に出す」勉強が、数か月後、模試の偏差値を確実に押し上げる最初の歯車だったことを。
そして――
この静かな積み重ねが、「自分は変われるかもしれない」という感覚を、確実に彼の中に芽生えさせていたことを。
物語は、まだ始まったばかりだった。
▶ 「やり直し」は、いつでもできる
涼介の再スタートは、特別な教材でも、特別な才能でもありませんでした。
正しい順番で、必要なことを積み重ねただけ。
もし今、
- 英語が苦手で避けてしまっている
- 何から手をつければいいか分からない
- 「もう遅いかもしれない」と感じている
なら、一度立ち止まって整理することが大切です。
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