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2026/06/16 05:16 ~ なし
第16回 なぜ大学に行くのか
涼介は、ネクストリーダーの小さな面談室で椅子に座っていた。
私服校らしく、周囲の高校生たちもラフな服装だが、部屋の空気は不思議と静かだった。
正面に座る塾長・山下は、ノートを開きながら言った。
「今日は勉強の話はしない」
涼介は一瞬、拍子抜けした。
「え……?」
「先に決めたいことがある。なぜ、大学に行きたいのか」
その問いは、涼介の胸にそのまま落ちてきた。
だが、言葉にはならない。
行きたいから。
みんな行くから。
就職が不利になるから。
頭の中に浮かぶのは、そんな理由ばかりだった。
「分からない、でいいよ」
山下はそう言って、ペンを走らせた。
「多くの高校生はね、“どこの大学に行くか”を先に考える。でもそれだと、途中で必ず折れる」
涼介は、黙ってうなずいた。
「大学は目的じゃない。何を学びたいか、どんな世界を見たいか。そこから考えないと、勉強はただの苦行になる」
涼介は、少し考えて口を開いた。
「……正直、将来やりたい仕事は、まだ分かりません」
「それでいい」
即答だった。
「分かってないなら、“選択肢が広がる場所”を選べばいい」
山下は紙に円を描き、条件を書き始めた。
・地方の国公立
・全国から学生が集まる
・社会や経済を学べる
・共通テスト重視
・今からでも届く現実的なライン
「これ、全部満たす大学、いくつかある」
その中に、涼介は見覚えのある名前を見つけた。
金沢大学 人間社会学域 経済学類。
「経済って、お金の話だけじゃない。社会の仕組み、人の動き、数字で世界を見る学問だ」
涼介は、初めて「大学で学ぶ自分」を想像した。
就職のためでも、世間体のためでもなく。
「……ここなら、意味を持って頑張れるかもしれない」
その言葉を聞いたとき、山下は静かにうなずいた。
「よし。じゃあ決めよう」
ペンが止まる。
「金沢大学 人間社会学域 経済学類」
ここを、涼介のゴールにしよう」
その瞬間だった。
霧の中にあった進路が、初めて輪郭を持ったのは。
「なぜ大学に行くのか」
この問いに、即答できる高校生は多くありません。
でも、答えが曖昧なままでも、整理すれば進路は決められます。
もし今、
- 目標が定まらず勉強に身が入らない
- 偏差値だけで進路を考えてしまっている
- 今から間に合う道を知りたい
そう感じているなら、一度、立ち止まって整理してみませんか。
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